「ん? メールだな。夏子か? 」


僕はメールの画面を開いた。


そこには。


「先輩! 大変!! もうびっくり!! 右側の織物している場所に来れますか? 」


何がびっくりなのかはわからないが、夏子は何か見つけたようだ。


「あらあら、何があったのかしらね? 楽しみだわ。行きましょう。」


ふふふ。と笑いながら咲夜は歩き始めた。
何か情報が掴めたのか?
それとも、夏子の事だ・・・・・・。

いや、考えるのはやめよう。


僕達は、入り口を出て左に曲がり織物工場を目指した。


工場は思ったより広かった。
何人もの女性が色々な仕事を分担しているようだ。


「先輩! こっちこっち!! 」


奥から夏子の声が聞こえた。
誰かと話をしているみたいだ。


「行ってみよう。」


そこには一人の女性、初老は遥かに超えているだろう。と、夏子だけがいた。


「夏子? 浩介は? 一緒じゃないのか? 」


「あいつは、途中で置いてきました! それより、このお婆ちゃんすごいんです! 」


夏子の横に、笑みを絶やさず座ったままでいる。


「初めまして。すみません、お仕事中に突然。夏子、いや、この子が迷惑をかけませんでしたか?。」


「いやぁ、大丈夫だよ。可愛い子だねぇ。こんなに若いのに、年寄りの話をちゃぁんと聞いてくれたよ。」


年齢は定かではないが、しっかりした口調だ。耳も遠いわけではなさそうだ。


「先輩! このお婆ちゃん、『オニ』の話を知っているんです! 」