高速は、混むことなく順調に車は進んでいく。


降り口、を示す青い看板が見えた。


「もうすぐだな。次の出口で降りたら、20分位で資料館に着くぞ。」


「うわぁ!! なんっっっっにもない!! すごぉい!! 畑と、山と、あっ!!先輩!!人がいますよ!! 」


人くらい居るだろう・・・

まあ、夏子には新鮮な景色だろう。
田舎と言っても過言では無い場所だ。


「ふふふ。いいところよ。空気も美味しいし。都会の喧騒から離れるのも、たまにはいいわね。」


窓を開け、外の空気に触れながら、咲夜が遠くの山を見ている。


ここで少しでも情報があればいいんだが。


「すごぉい! 畑の中に家がある! しかも大きい・・・。のどかですねぇ。みんな、何して遊んでるんだろ? 」


素朴な疑問だな。
家を出れば、すぐに遊べる場所がある。
それが普通な生活をしているんだ。
家を出たら畑。困るだろうな。


考えながら僕は笑ってしまった。


「あら? 珍しいわね。何かツボに入ったの? 」


聞かれて僕は答えた。


「いや、夏子みたいなタイプは家を出たら畑じゃどうするんだろうな? って思ってさ。学校帰りや休みの日に、カラオケ! ショッピング! って過ごしているんだ。家を出て、途方に暮れてる夏子を想像してしまってね。」


「ちょっと先輩! 失礼じゃないですか! 私、途方に暮れますか?

・・・・・・ん? うーん・・・。

確かにどうしていいかわからないですね。毎日どうやって過ごすんだろ? 」


「過ごし方は探せばいいのよ。都会とは違った過ごし方になるんでしょうけど。」


咲夜の方がツボに入っているようだ。
肩を震わせながらクスクス笑っている。


「もう! 咲夜さん笑いすぎ! 大丈夫! 私は生きていける自信ありますよ! 」


何を思って言っているのか。
ここで暮らすわけじゃないのに。


「ふふふ。わかったわ。夏子は大丈夫でしょうね。」


咲夜に言われて夏子は納得したようだ。