闇の鬼~影を纏いし者~

「咲夜さん! 浩介は? 一緒じゃないの? 」



「大丈夫よ。安全な場所にいるわ。傷が深いから連れてこなかったの。」



浩介も、無事のようだ。




「よかった・・・。」




夏子が安堵の声を漏らす。





「あら? ずいぶん派手にやられたわね。無鉄砲に、突っ込んだじゃない? 」




僕を見ての第一声がこれか。




返す言葉がない。




『オニ』にも浅はかと言われたくらいだ。




「考えるのは得意じゃないんでね。行動あるのみだ。まあ、その結果がこれなんだけどな。」




痛みを抑え、精一杯言ってみた。




「夏子、朱雀の扉まで行ける? あそこなら、攻撃されないわ。美冬が『オニ』に取り込まれない限り、あの場所には近づけない。」




僕の言葉をスルーして、夏子に指示を出す。




「いい? 何があっても扉から離れちゃダメよ。」




「わかりました! 」




夏子は、踵を返し朱雀の区画に向かった。




僕達の後ろが朱雀でよかった。




「随分無茶をしたのね。痛みは? 」




夏子の前でからかったのはわざとか??




僕を気遣う咲夜の声。


もう、聞けないかと思っていた。




「痛みは大分引いたよ。たまたま広間の真ん中に投げられてね。刀に力が集まったんだ。その力で回復出来た。」



「そうだったの。よかった。



ねぇ・・・呼んでくれたでしょ? 戻ってきてくれ! って。貴方の声・・・聞こえたわ。

それで戻ることが出来たのよ。」



確かに呼んだ。



あの時、咲夜の力なら『オニ』を止められると思ったから。