「夢は、半年前から見始めたの。最初の夢は・・・・・・。

黒いモヤの中に浮かぶいくつもの顔。何人いるのかわからないくらい。その人たちは、口々にこう言ったわ。


「闇から来る。『オニ』が来る。」


その繰り返しで終わったわ。暫くの間、同じ夢が続いたわね。
その次は、私が闇に包まれて『オニ』になるの。その時は、周りの景色もよく分からなかったわ。ただ、『オニ』になった。ではなく、取り憑かれたような感じね。逆らうことは出来なかったわ。
ただ、見た目が『オニ』なのかは、わからないの。
だけど、1ヶ月くらい前からハッキリしてきて。扉がいくつもある様な場所で、黒いモヤに包まれて、私が『オニ』になる。
場所はどこなのかわからないけど、地下の、洞窟のような場所。
そこには、私と他に3人。誰かはわからなかったけど。
その中に、刀を持った人が1人いたわ。3人は、『オニ』になった私と戦っているの。この時からいつも見る夢よりハッキリしてきたわね。」


ふぅ・・・、とため息を漏らし咲夜は一息つき、話を続けた。


「夢を見始めてから、次の夢を見るまで徐々に感覚が短くなっていったわ。

・・・そして、昨日見た夢。上から順に、生まれたものから『オニ』になる。そう言っていたわ。
私達はね、その『オニ』がどういうものなのか調べるために動いていたの。

・・・でも、図書館にあるような文献には、載っていなかったわ。いったい、どんな『オニ』になるのか・・・。

まるっきりお手上げよ。それなのに、期限は後2ヶ月。だから最後の頼みの綱であるオバァ様に会いに行くことにしたの。」


夢の内容を話し終え、咲夜は夏子を見た。


「・・・なんか、壮大ですね。ファンタジーとかじゃないですよね?

咲夜さんに、そんな能力があったなんて知りませんでした。

未知との遭遇ってやつですか? でも、最後は咲夜さんが『オニ』になっちゃうって事ですか?

そんなの嫌です!! そうならならい方法を探してるってことですよね? 」


夏子にしては的を得た回答だな。
咲夜が『オニ』になる。そんなことはさせない。
その為に、僕は・・・。


「その通りよ。方法がわかっても『オニ』になってしまうかもしれないけど。」


神妙な面持ちで咲夜が言った。