闇の鬼~影を纏いし者~

そう言えば、夏子は何処だ?


あれから声も聞こえなければ、姿も見えない。



「まさか?! 夏子!! 」



東側に入り、辺りを見回す。

夏子の姿が、気配すらない。



「夏子!! 」



返事がない。
そんな馬鹿な・・・


他に行ける場所は無いはずだ。



不安と焦りが心を乱す。


ブルル・・・ブルル・・・


「ん? 」


そんな時に携帯が鳴った。

ポケットから出し、窓に見えるメッセージに目を移す。


「セーフティーゾーン・・・・・・」


なんだ?
夏子か?



「クソっ! 影を切りながらメールなんて見れないぞ! 文面からすると、何処かに避難しているのは確かだな。」



標的が、僕一人になっているせいか、襲い来る影の数がさっきよりも多い。



僕は、刀を構えて集中した。



「吹き飛べ! 」


やり方はわかっている。
刀に集中して、目の前を切る。
消耗は激しいが、影を消すだけならこの方法が一番早い。




ブワワワッ!! と、周りの影が消えて行く。
何度か繰り返し、なんとか自分の周りにある影を無くすことが出来た。


「今のうちか。」


僕は携帯を取り出し、メールの画面を開いた。



「セーフティーゾーン発見!! 先輩!! 影は扉の中には入れないみたいです!! 私、玄武の部屋にいます! バレないように静かにしてるので、頑張って下さい!! 」



なんだって?!
扉の中に入れない?


この東側には入ってきたじゃないか。
どういう事なんだ?



考えても仕方ない。
夏子が無事ならそれでいい。


入れないんじゃなくて、気づいてないだけじゃないのか?


まあ、それなら気づかれなければいいんだな。


玄武か。
そちら側に行くのは、避けた方がよさそうだ。
何かの拍子に壁に穴が空いたら、見つかってしまうからな。