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5月11日(月)

教師生活も最初の頃に比べて落ち着いてきた頃。

先週の金曜日から休んでいるある生徒が気になり家に電話をかけることにした。

プルルルル__プルルルル____

ガチャ

2コール目で「はい。」
と、落ち着いている声の主

椎名明梨(しいなあかり)だ。

「もしもし椎名か?俺、新崎なんだけど」

「あー新崎先生か。」

「そうだ。
 先週から休んでるけど体調どうだ?」

「別に。」

「別にって何だよ。」
困惑する俺に構わず

「先生…。私、学校辞めたい。」
そう言って沈黙になる。

「ちょ、ちょっと待てよ!」

焦る俺とは裏腹に落ち着いてる椎名。
止めなければと、咄嗟に出た答えが

「何かあったのか?」

なんて言った自分を殴りたくなった。

何も無かったら辞めたいなんて言わねーだろうが!なんて頭の中で考えてるうちに電話が切れた。

切れる間際に"助けて"って聞こえたような気がした。



その時、俺は気づいていなかった____