「……今週中にでも栄子おばあさまに会ってくるわ。あの子の事もあるけど、元気が気になるし」
「そうですね。二人のためって、室長と英田さんのことだろうし」
嫌悪感を出す立花さんに、同じ気持ちだった私は少し溜飲が下がった。

「私は、立花さんや竜崎くんみたいに有能な後輩しか居なかったから、こんな苦労知らなかった。貴方だって竜崎君だって一生懸命だったのもあるけど、元々が優秀だったからね」
「私も竜崎も、入社した時、、社長の後ろを颯爽と歩く室長や英田さんに憧れましたよ」
御世辞やおべっかを言わない立花さんだからこそ、そう言ってくれると心がふんわりと軽くなる。

「だから、今まで自分を磨いてなかった人が努力しても、私達みたいに能力の上限が高くない。だから苦しいだけなのだから、身の丈にあった場所を探せばいいのに。辛いのは本人だし」

見るからに、仕事に追われて余裕が無さそうだった。

「此処まで考えて言って下さってるのに、多分さっきの人たちには気づいていないんでしょうね」

「仕方ないってことにする」

再び接待の事について話しあっていたら、巧が荷物を持って出かける準備をしていた。


「社長をお迎えですか?」