悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?


振り返ると、森元さんが息を切らしてこっちを見ていた。

「……何」
「今回は、大事な取引に御迷惑をおかけしてすいませんでしたっ」
「……貴方が謝るのは私じゃない。セッティングしてくれたのを無駄にさせられた立花秘書の方よ」
「申し訳ありません!」
謝られ、一瞬立花さんの眉がしかめられたがすぐに表情を隠した。
「室長にも謝っておいて」
「はい!」

深々と頭を下げて、反省しているかのように見せかけて、顔を上げた瞬間私を強く睨んだ。

「でも栄子さんは、私がお二人の新しい風になればって、言ってくださったんです! 二人のお役に立てるまで、私辞めませんっ ミスも減らします!」

「……そう。迷惑かけない程度に頑張りなさい」

栄子おばあさまの名前を易々出すな、とか、知ったような口を聞くな、とか言いたいことはうんざりすぐらい、頭の中に沸々と浮かび上がってきた。

「偉かったね」
「見返したれ!」

ただ、これ以上彼女を攻撃して、女子社員たちと争う暇もない。
努力できないなら、そこまでだ。

「なんか、英田さんの気持ち分かります。無能なのに一生懸命って一番扱いにくいですね」

普段、あまり他の人に興味を持たない立花さんでさえ苦言を漏らす。
最初の頃は、あの子に興味も持たなかったのに。