「いい。俺が時間を稼ぐから」
小さく耳元で囁かれ、ハッと振り返る。
「その代り、頼むな」
そう少し視線を流した先にはキースが居た。
キースは頭が良いから、こちらのミスを見逃さないかもしれない。
だから気づかれないようにしないと。
最新の注意を払って、笑顔と笑顔で騙し合い。
私が気が強いし、媚び諂ったりプライドが邪魔してはっきり相手に自分の意思を伝えてしまうことが時に刃になるのは分かっている。
でも刃になるってことは、その人の弱いところ。
傷つきたくないなら、どうして強くなろうとしないのか疑問だった。
だって、私の横に居る巧を見てよ。
どこも刃は通らない鉄壁、完璧。
それでいて、周りにフォローもできるし私みたいにそれを身に纏って攻撃もしない。
此処まで何も言うことがない、そこまで自分を高めればいい。
恋愛に関してはやや強引で、ストレートに気持ちをぶつけてくる癖に、普段は全く表情に出さないけど、爽やかなふりをして――とてつもなく情熱的なんだ。



