駆けつけた立花さんが、巧の指差した書類を見て青ざめたのが分かる。
小さく嘆息した巧が、今度は私に視線を送ってきた。
「お飲物を用意してなかったですね。今日はちょっと朝方涼しかったから……。何にしましょうか?」
キースたちに話しかけながら誤魔化す。
紅茶と珈琲を注文に受け取ると立花さんにお願いした。
「どうしたの?」
「書類が入れ換わってます」
小声で立花さんが言うと、悔しそうに時計を見上げる。
「どういうこと?」
「分かりません。でも巧さんが原因は分かってるって。少しだけ時間を稼ぐから森元さんから回収して来いって」
――またあの子か!
腸が煮えくりかえりそうになったけれど、私も巧もこの会議から離れるわけにはいかない。
副社長に見つかるのも嫌なので、仕方なく先に昨日の説明をキースの部下へ伝えた後、名刺交換している副社長たちに混ざって時間を稼ぐしかない。
書類は朝、完璧に立花さんが用意してくれていたのに。



