「昨日は観光出来ましたか?」
「昨日は知り合いのお店を覗いて回っただけですよ」
キースが日本語で話すのを、昨日英語でずっと会話していた巧が眉をぴくぴくしながら聞いているのがちょっと面白かった。
「そう言えば、昨日、シノの婚約者に連れて行ってもらった回転天ぷら屋さんは面白かったですよ」
「ありがとうございます。突然だったので庶民的なお店で恥ずかしかったですが、あそこは志野とも良く行くんですよ」
(回転天ぷら屋とか行ったことないよね)
男たちは会話の端々でお互いを探りあいながらも、牽制しているのが分かる。
キースは面白がってるだけかもだけど、巧は爽やかな笑顔の裏で敵対心がメラメラ燃えているように見える。
「では、昨日少し話しましたが、オーストラリアでのうちの企業の今後の展開ですが、う」
卒なく説明しながら、会議室に入りつつ、テーブルに並べておいた書類を手に持って一瞬だけ笑顔で巧が固まった。
「立花、ちょっと」



