「わざわざ御越し頂きありがとうございます」
キースも通訳と部下を連れて、訪問してきた。
本当ならば今日来るはずだったのだから、副社長や会社は万全の状態だ。
一番に飛び出した副社長とキースが握手し、社内へ入っていく。
副社長、キース、そして巧と私、後ろに立花さんがぞろぞろと廊下を歩く姿に皆が端へ避けて行く。
「シノ、昨日は無事に彼に会えたの?」
「え」
その一言で副社長や立花さんまでも私を見る。
「プライベートの話はここではしません」
にっこり笑って誤魔化すと、キースは拳で口元を覆って笑う。
「じゃあ、今晩も友人として飲みにでも行きますか?」
「それは、商談次第ということで」
成立してもしなくても、もうお店は予約している。庭の四季折々の美しい庭が縁側から見れる老舗割烹料理の観山荘。
接待があるのだから今日は、どちらにせよ副社長のおともに同行するはずだ。
巧が、だけど。



