「は?」
仕事中に、予期せぬ変化球が頭に投げつけられた。
まさか小娘の方からその話題をしてくるとは思わなかった。
「や、ちが、違うんです。その、あの、だって、すごくお似合いだから」
かああっと真っ赤にした森元は、印刷されて出てきた紙を両手で握るとそれで顔を隠す。
仕事中に、しかもろくに仕事もできない癖に、一丁前に色気づいているのか、この子。
「プライベートなことは、会社の人には話さないことにしてるの。噂とは興味ないし、なんか……哀れになるもの」
「哀れ……?」
「手が届かない人間の荒を探そうとしてるのかなって、ね」
「そんな、そんなこ、と」
大袈裟にブンブン頭を振られたが、それはそれで面白くない。
純粋なふりをする森元が、心底嫌いになりそうだ。
巧は、私にこの子ぐらい素直になれとか言いだされたら本当に嫌だ。
「私と巧は、社長と副社長との間で決められた許嫁なのは隠すつもりはないけど」
クスッと笑うと、森元さんは分かりやすく顔を青ざめさせる。
「聞かなくても、私と巧みがお似合いだって分かるでしょ?」



