内線じゃあ格好付かないので渋々立ち上がった。
社長の命令なのか栄子おばあさまの命令なのか、はたまた巧の花嫁ゲットの為の陰謀なのか分からないけれど、わざわざ庶務課に来てまで巧が指導しなきゃいけない理由が本当に分からない。
「それ! 私やります!」
庶務課に入ろうとしたら、バタバタと品のない走り方をする森元にぶつかりそうになった。
書類を片手に、デスクとデスクの間を器用に走っていく。
「……もう少し静かに歩きなさい」
「わ、英田秘書! おはようございます」
「……おはよう。巧連れ戻しに来たんだけど、どこ?」
「え、あ、今、向こうで電話中です」
「そう。じゃあ待たせてもらうわ」
いつも以上に威圧的に睨みつけると、分かりやすく怯むのが分かった。
気まずそうに書類のコピーを取ろうとし出したので、手を出した。
「向きが反対。横に置く」
「あ。す、すいません」
こんな印刷ぐらい、一回で操作を覚えてほしい。
巧なんて、貴方の覚える仕事なんて取るに足らないぐらい、重要な仕事を任されている多忙な身なのだから。
「あの、ひ、一つ質問してもいいでしょうか?」
「何?」
印刷機の影響画面を見つめながら、森元さんは言いにくそうに言葉を吐いた。
「英田秘書と巧さんは、こ、こ、恋人なのでしょうか?」



