そう言われて、得意になって髪を掻きあげてしまう。
褒められて嬉しくないわけではないが、当然の結果だと自分に言い聞かせて。
「でも自分より年収高そうな女は嫌だな」
「分かる。英田秘書とか、絶対いつもフレンチとかワインとか食べてブランド品身に纏ってるイメージ」
何その貧相なイメージ。想像力ないのかよ。
思わずそんな暴言を吐いてしまいそうで、振り返る。
すると、聞こえてたのかと、社員二人がぎょっとしていた。
「ふ。小さなプライドってばっかみたい」
鼻で笑って、冷やかに一瞥した後、歩き出す。
「あんた達なんて、タイプでもないってーの。巧レベルになってから女を批評しなさいよ」
「こ、こえええ」
「巧室長レベルってか!」
廊下にうずくまってる馬鹿たちを尻目にエレベーターに乗る。
巧や私の事を、羨ましがったり崇めたりするのか勝手だけど、真実は教えてやらない。
恋愛下手で、経験不足。
おまけに両想いかどうかも定かではないのに、キスはした。
寧ろようやくキスをした。
社員が憧れるような二人が、まだキス段階なんて、きっとその貧相な想像力では分からないだろうけど。



