悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?



「ば?」

言い返そうと思った唇が、強引な巧の唇に奪われた。
触れていたのは数秒だったのだろう。

それでも私には果てしない時間に感じられた。
強く巧の付けている香水の匂いが鼻を掠めて、力強い手の感触や熱い体温に息が出来ない。
ピリピリした空気の中、触れた唇だけ甘く感じたのは、なんでだろう。

「これがお前が逃げてる恋愛って奴だ」
「っ逃げてない」
「どろどろして、綺麗じゃねえし、努力や自分を磨いたどころで『絶対』なんてないんだ。キース・タウンゼントみたいな、横から掻っ攫っていきそうな虫のすかねぇ相手が現れたり」

手の力が弱まったと思うと、巧の顔が私の肩に埋まっていく。

「こんな風につまんねえ嫉妬で怯えさせてしまう。恋愛感情なんて、自分でコントロールなんてできない」

完璧だと思っていた巧が、キースよりも恋愛に対して下手くそなんて。
それは私も一緒かもしれない。
何か巧に言いたいのに、初めて見せる巧の本音にびっくりしてしまった。
強引なのに、触れた唇からじんじんと甘く身体が熱くなっていく。
巧に言われて、今までの不機嫌さがキースへの嫉妬だと分かって、顔が真っ赤になってしまう。

「仕切り直す」