悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?


私がもう少し、あの森元さんみたいに巧に甘えたり、馬鹿みたいな部分を見せてたら、巧はこんなことを言わなかったのだろうか。

「帰って」

「……志野?」

「全然嬉しくない。こんな形で結婚話が持ち上がるのは嬉しくない。不満があるならプロポーズいらないし」
こんな時でさえ、森元みたいに甘えたり自分の感情を伝えられないのが悔しい。
「どうせ、副社長に何か言われて嫌々結婚を進めようとしたんでしょ」
「親父は関係ねえ」
「でも今の巧には何を言われても理解されてないから嬉しくない。そんな顔で攻めてくる人に――イタッ」

握られていた両手を掴む手が、強くなる。
見上げた巧と視線が絡まったら、金縛りで動けなくなる。
強く射抜くように私を見る。
でも不満ばかりで聞きたくない。上手く行ってると思ってたのに、全て壊されるようで怖い。

「仕事は完璧なのに、どうしてお前はそんなに鈍いんだ、馬鹿野郎」