「……信じられない。こんなに君は綺麗で聡明で完璧なのに」
「大袈裟に引かないで」
「恋愛経験が無さ過ぎて、自分の気持ちさえ良く分かっていない君に、アドバイスをするとすれば……」
キースが空になったグラスで、私の飲んでいないグラスをカツンと叩いた。
そう言えば、乾杯してなかった、と一瞬どうでも良い考えが脳裏を過る。
「そんな感じで隙だらけな感じがダメなんだよ。私と恋愛してみましょうか?」
「……え」
「恋愛の経験、全部教えてあげますよ」
「えええ!?」
「おっと、グラス」
驚いて手を離してしまったグラスを、キースが奪う。
そして王子様見たいに笑って私を見る。
その笑顔は何を考えているのか分からなかったけれど、多分きっと、私をからかっているだけだろう。
私がこんなに普段偉そうにしてるのに、恋愛経験が無いことを面白がっている。
「そうと分かれば帰る」
「え? 私への返答は?」
「ありがとう。なかなかドキドキした。こう、脳に響いたってかんじ。あれだね。キースは恋愛経験しまくりなんだね」
「……なんか軽い男だって思われたかな?」
苦笑するキースが、私のグラスのお酒を指差す。
「酔わなくていいのかな?」
「ええ。自分の足で帰るから」
「じゃあ、鈍感な姫君の分まで私が酔っておきますね」



