悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?


心配そうに私を見るキースに、意味のないピースを向けながらダーツの的の前に立つ。
そして、シュッと投げると、ダーツはやや外れたが中央近くに刺さった。

「ほら、私って負けず嫌いだし、気が強いし、出来ないことなんてないじゃない? 大体卒なくこなしちゃうんだよね」

ダーツも初心者どころか、今初めてやったのに、そこそこできてしまった。

「だから、きっとずっと一緒にいたら可愛げがない奴って思われて恋愛対象外になっちゃうんじゃないかな、なんてね」

テーブルに戻り、もう一つ握る。そして投げようとした私にキースは小さく笑った。

「そんな風に真っ直ぐに悩むシノは可愛いですよ」

「私が可愛い?」
思わず持っていたダーツを落とした。驚いて、ではない。
信じられない言葉に、現実だと思えなくて、だ。

「シノは自信に輝いていて素敵な女性だと思いますよ。自分でもそれ故に、大事なことが欠けていると焦ってる」

「大事なこと?」
カツカツと革靴の音を響かせ、ジャケットを脱いだキースが私の目の前に来る。
そしてテーブルに手を伸ばす。
「自分ルールで周りが見えていないってこと」

ね?
甘く笑った後、テーブルに置いてあった黄色いボタンを押した。
するとダーツの的がパッと明るくなり、モーター音を響かせていく。

「自分ルールって、え?」

「不器用で周りが見えていない部分があるんです」

クスクス笑って、キースはダーツを投げた。
すると音も無く中央に刺さると、的の周りが光りだし、中央上の部分の電光掲示板に点数が浮かび上がった。