そんな喰えない顔をしたって、私が初心者だと分かれば優しくしてくれるんだろうなって分かる。
『セカンド・ニューヨーク』と書かれたペンキでワザと汚れた看板を通り向けると、中はぐっと大人ッぽい雰囲気に包まれたバーが広がっていた。
ジャズが流れるカウンターの向こう側で、シュッとダーツが放たれる音がする。
キースは店員と英語で簡単に話すと、さらにその奥のドアを開けて個室に案内してもらう。個室はちょっと嬉しいかもしれない。
人の視線が沢山ある中で上手くできないダーツをするのは私の沽券に関わる。
個室でもテーブルの向こうの壁に二台のダーツが置いてあった。
壁際に座る椅子があるが、立って飲むのだろうか。テーブルは高い位置で中央に置いてある。
「なんか……キースといると安心できる」
ダーツを手に持って触りながら、肩の力が抜けて行く。
「久しぶりに会ったから、今の私を知らないキースに会えて気が緩んだのかな」
「シノ」
「あ、大丈夫よ。仕事の時はしっかりしてるから。でも最近、色々責任とか増えるからかな」



