「好きに言わせておけばいいだろう」
「嫌よ。巧の価値が下がっちゃう」
「お前なあ、森元がすぐ近くに居るんだから、ちょっとは言葉とか選べよ」
視線を彼女に向けたが、どうやら社長たちと会話が弾んでいてこっちに気づいていないようだった。
胸を撫で下ろす巧の、一つ一つの動作や表情が何故だが腹立たしい。
「別に。これぐらい言われても悔しいと思わない子ならいらないもの」
「……せっかく綺麗な顔してんのにどうして棘と毒しかないかな、お前は」
呆れた様な半笑いで私の頭をコツンと叩いた後、私の横を通り向けた。
「おい、森元。さっさと戻って仕事片付けるぞ」
「は、はい! ご指導よろしくお願いします!」
副社長に一礼してさっさと戻っていく。
森元さんのぎこちない一礼に、副社長も社長もデレデレだった。
(巧……。秘書室には今日も戻らないのかな)
社長になるために色んな部署をたらい回しにされてきたおかげで、きっと巧は他の人よりも色んな事を教えるのに長けているのだと思う。
「さーって、会議の資料よかったよ。ありがとうね。私達も行こうか」
妙に明るい副社長の声が鼻につく。



