キースをタクシーまで見送るとき、漸く終わったのか副社長も出てきた。
私と立花さん、副社長に見送られてご満悦のキース。
「では、仕事が終わったら連絡して」
小さな爆弾を落としていく。
手を振りつつも、副社長の何か言いたそうな視線が五月蠅かった。
「キースはただの学生時代の友人ですから」
「高永室長!」
バタバタバタと子どもみたいな足音に、私たちは振り返る。
すると、あの冴えない新人森元さんが私たちの視線に固まっていた。
「あっ……タウンゼントさんのお見送りに高永室長が行ってしまったから、私も急いで来た、のですが」
「足音が五月蠅い。大事な取引相手にそんな落ちつかない人を会わせたくない。貴方にはこの取引は全く関係ないでしょ。いい加減、でしゃばらないで。ただの研修生の分際で」
この子をこのまま野放しにしていたら、先ほどの女子社員たち以上の下品な会話を繰り広げそうで、げんなりだ。
キツイと言われようと、社内の品格を守る方が優先だ。



