悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?


「秘書室長が新人の研修担当するなんてあるの?」
「高永室長って時期社長でしょ? なんであんな小娘と?」
「え、でも室長は英田志野と婚約してるって聞いたよ」
「私もそれ聞いた」
「でも本人は言ってないでしょ? 英田志野の周りへの牽制じゃない?」
「あはは、確かに。でもあの人が相手なら勝てないし、敵に回したくないよね」

「……貴方達さあ」

キースとの話し合いも終わり、タクシーを待つためにロビーに向かおうとして頭が痛くなった。

エレベーターを待つ四人の女性社員が、周りも気にせずに信憑性も分からない噂話をぺちゃくちゃ話すなんて、ありえない。

私の一言に、錆ついたドアの様にゆっくり振り向く社員は、見ていて面白い。

「下品だから、あの小娘よりも巧に相手にされないんじゃないの? そんなんじゃ巧どころかほかの社員たちにも相手にされないよ」

腕を組み、あざ笑うかのように言うと、悔しそうだが反論はしてこなかった。

「口約束の婚約なら、運命の相手が現れたら取り消されちゃいますしね」

「キース?」

やばい、キースの前でこんなキツイことを言ってしまった。
一瞬後悔したが、彼はにこにこと笑ったままだった。
その笑顔に、女子社員が頬を染める。
気持ちは分からなくはないが、アンタたちは誰でも良いのか。

「例えば、シノは俺が口説いちゃうかもしれないし」