今も、仕事で社長に連れ回されているので疲れているのか、しかめっ面でぐっすり眠っている。

英田商事秘書室長並びに社長第一秘書。

散々色んな部署を経験し、秘書に就任したってことは……巧の会社での地位はもうほぼ確定されている。
そんな巧を支えられる能力があるのは私だってことも。

「……なんでアンタが私のベッドに潜り込んでるの。起きてよ」

「うー。あと5分」

その5分が30分ぐらいだと理解してしまうぐらい、私はこの奇妙な関係に慣れてしまっていた。

「早くしてよね」

放置したまま私はベッドから起きる。
普通にベッドにもぐって一緒に寝る癖に、キスすらしたことないってどうなんだろう。

この変わり映えしない私と巧の関係は、私の最近の悩みの種だったりする。