「キースみたいに誰もが憧れる人が片思いってことはないわよね?」
会議室に着くと、数分もせずに珈琲が届き、うちの受付の手際の良さに感心しつつも、気持ちはキースの恋愛に集中していた。
「どうだろう。私は目の前に差し出されたものではなく、自分で振り向かせなきゃ情熱が沸き上がらなくて」
「意外と積極的なんだね」
「一週間しか口説く時間が無いので、ね」
意味深に微笑むと、珈琲の香りに目を閉じながら飲む。
キースの好きな珈琲の銘柄は変わっていないようで安心した。
「仕事の話の前に、一つだけ質問しても良い?」
コーヒーカップを置きながら、キースが微笑む。
この笑顔を向けられたら、夢中にならない女性は居ないと思う。
それなのに、キースが誰かに片思いか。
「もちろん。どうぞ」
「仕事抜きで、ディナーを誘ってもいい?」
足を組み換えて、ちょっと甘えたように首を傾げる。
それがモデルの撮影かと思わせるほど、絵になっていた。
「それももちろん。積もる話がいっぱいあるからね」



