どことなく嬉しそうなキースとは裏腹に、何故か不穏なオーラを巧が漂わせている。
爽やかな笑顔なのだが、目が笑っていない様な。
その笑顔が私になのかキースに向けているのか分からない。
けれど、明らかに不機嫌だった。
「巧もはやく仕事に戻ってよ。道草もほどほどに」
ちらりと森元さんを見たら、巧の後ろに隠れた。
言われたくないなら、変わればいいのに。
「シノは、あの原石ちゃんが嫌いなんですね」
エレベーターに乗った瞬間、キースがクスクスと笑う。
よく見てるなって思うけど、この人の観察眼は鋭いし嘘つけないなって思う。
「嫌いよ。実力も無いのに、私が誇りに思っている会社に入社してきてるんだもの」
「コネも実力のうちです」
「キースはなんでそんなに日本語が上手くなってるの?」
まるで日本人の様に滑らかに喋っているし、難しい言葉を話している。
「好きな人が日本にいるからですかね」
即答された。
というか、えええ!
キースの好きな人が此処に居るなんて。



