「お前は不器用なんだって。――自分でも気づいてないようだが、危なっかしくて……誰にも触れさせたくなんてなかったよ」

悲痛な顔で巧が私の顔を覗きこむ。

世界で唯一、私が屈服するとしたらこの人だ。
私よりも私を理解しようとしてくれている。

「でも……私は悪役なんでしょ?」

馬鹿みたいな擦れた言葉が、零れ落ちる。
可愛くない。
私なんてきっと誰よりも可愛くない。

「ヒロインになんて、なれないんだ」

ツツーっと流れた涙。
巧が指先で掬ってくれたら、頬がじんじんと温かくなった。


本当の私は、こっちだったんだね。