すると、巧はクククっ拳で口元を隠しながら笑った。
この笑い方は、本音を隠してるような、照れてるのを悟られないようにしてる感じだ。
「でもさ、悪役になってでも、その人の成長を促そうと頑張ってくれる上司って貴重だよ。優しくないって思ってるかもしれないけど志野は自分にも厳しくないから」
「高永室長ううう」
「かわりに、俺が甘やかすからいいけど」
「!」
何故か森元さんが真っ赤な顔で私と巧を交互に見た。
森元さんに釣られて頬が赤くなりそうなので無視したけれど、巧とはばっちり視線があった。
本気だ。
この人は本気で、全身全霊をかけて甘やかすと目で言っている。
なので私は薔薇の花に隠れて小さく笑う。
もちろん、全身全霊をかけて甘やかせて頂きましょうと。



