社長室から戻った巧は、いつも通りの巧だった。
2、3つほど竜崎に指示した後、仕事に取り掛かった。
「高永室長! 社長たちの反応はどうでした!?」
中央の生けられた薔薇に隠れて、ファイル整理していた森元さんが飛び出してくる。
すると、森元さんがいるとは思ってなかったのかちょっと驚いていた巧が面白かったが、いつも通り甘い笑顔を携えて誤魔化した。
「生まれた時から結婚すると決まってたような間柄だから、何も問題はない。安心して仕事していいよ」
「ただでさえ仕事遅いんだから首突っ込んでないでさっさとしなさいよ、って意味だからね」
薔薇を指先で弄りながら、小馬鹿に笑って言うと、森元さんは巧を見た。
「高永室長、奥さんが意地悪なんですけど、あの発言どう思いますか!」
「うわ。ちくってる」
竜崎が驚くと、森元さんは彼を睨みつける。
「いいえ。ご報告です!」



