「ひ、酷いです! 園芸は趣味です。趣味を仕事にしたら、きっと苦しくなっちゃうから嫌です」
「でも、向いてない仕事よりは、指導役の手間が省けるんだけどね」
花瓶に生けられた花が、キラキラと宝石のように輝く。
朝露のように、水に濡れた花びらが美しく香りはなっている。
「でも、入社できたのですから頑張ります! 私、辞めませんよ」
メラメラとやる気だけは輝いている森元さんの瞳に、げんなりしつつも自分自身に気合を入れる。
「しょうがないから、とことん貴方を鍛え上げてからオーストラリアに行くことにする。私なき後、立花さんの負担が大きいからね」
「それは本当に困ります。お願い致します」
立花さんも露骨に嫌そうに森元さんを見てから、私に懇願した。
「もちろん。竜崎くんは巧に任せれるとして、問題はこの子だしね」
「……本当です。もう少し良い子がいたらその子でも良いのですが」
「ちょ、お二人さん、酷いですからっ」
冗談じゃなくてちょっと、いや、かなり本心だったけれど二人で頑張ろうと心に決めた。
そして社長室から戻らない巧の事も気になる。
オーストラリアの件についてまだ話しているんだろうけど、長すぎて心配だった。
巧ならば最良の結果にもっていくと信じているけど。
結婚とは、ふわふわ甘いだけじゃなくて、お互いの家や今続けてる仕事や、環境、そして手続き、色々大変なことが沢山あるのは分かっている。
それでも、この人と一緒に居たいから頑張る。
だから、私も巧を信じている。



