「話は以上。仕事中なので」
「こら、志野」
「あとは此方で話しましょうか。社長」
巧が満面の笑みで父に言う。
残されたのは、公私混同による辞令処置をどうするか、だ。
巧と森元さんが結婚しないと分かった今、私がオーストラリア、巧が日本と別れさせたくないとまた公私混同しようとするだろうが、それは私も巧も許さない。
何度もタヌキ二人の好き勝手にはさせたくない。
うちは6月と12月に管理職の人事異動や辞令を決めてから、その人たちの希望で一緒に移動させてほしいだの、この人をこの職にすいせんするだのごちゃごちゃ決めてから社員の辞令は3月に行う。
なので、私や巧に辞令が下りるとするならば12月。
巧が抜ける秘書室には、その分新卒を数人入れるんじゃないだろうか。
会社のことは考えずに自分達の事を優先派したいけれど、無責任にもなりたくない。
せめて、巧が抜けた穴を埋められる人材を獲得できればいいのだけれど、森元さんみたいなのが数人現れたら困る。
秘書室に戻れば、園芸が趣味である森元さんがこんな時だけ生き生きと仕事して薔薇を生けていた。
「貴方、秘書じゃなくて園芸系に転職したらいいんじゃないの?」



