悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?





こうして、栄子おばあさまの推薦で現れた森元さんおおかげで、巧の花嫁は一般的な普通の子もチャンスがあるんじゃと色めきだしていた女子社員たちは、999本の薔薇の前に敗北した。

女子社員に応援され、担がれ、騒がれていた森元さん達は、薔薇を見て沈黙した。

ヒロイン的な位置にいたくせに、何も努力していなかった結果だと思う。
巧は、興味無い人の新人研修など受け持つことはないから、きっと少しはあの子を気にしていたのだと思う。


それでも、悪役の私が素直になったことで物語は大きく変わったんだ。

「社長、こちら良く読んでサインしてくださいね」

「あ、ああ。そこに置いといてくれないか」

私が渡すと、パソコンに何か打ち込んでいた父はちらりと視線を落としただけですぐにパソコンへ視線を戻す。

「社長、早く見た方が身の為ですよ」
巧が促すと、ガサガサと面倒くさそうに白い封筒の中から、婚姻届を取り出した。

「どういうことだ!?」

驚いた父は、私達と婚姻届を交互に眺める。

「問題がありますでしょうか」

「いや、ないが……高永くんは?」

副社長の名前を出すと、内線で副社長も呼びだした。
そしてタヌキ二人は、書類と私達を見ながらへなへなと力が抜けたように倒れ込んだ。


「遅い! どれだけ心配したと思ってるんだ」

呆れるのか怒るのか、喜ぶのかどれかにすればいいのに、忙しそうに表情をコロコロ変えている。