「……はあ。声だけ元気でもねえ」
「なんでそんなに面倒くさそうに見るんですか。本当に頑張りますので――」
後ろを小動物のように着いてくる森元さんにうんざりしていたが、急に彼女が立ち止った。
「何?」
「や、受付のところにある薔薇の花束すごいなって」
「薔薇の花束?」
受付のカウンターを見てみれば、受付嬢が隠れてしまうほどの大量の薔薇の花が置かれている。
百……いや、そんなんじゃ足りないぐらいだ。
その瞬間、大きく胸が高鳴るのが分かった。
「わ、たしにサインが欲しい荷物ってどれ?」
カラカラに乾いた声で尋ねると、受付二人が顔を見合わせる。
「こちらです」
渡されたのは、『998本』とだけ書かれたメッセージカード。
薔薇の花束の向こう側に花屋さんがひょこっと顔を出した。
「送り主は、高永 巧様です」



