悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?




甘えるというのは、自分は此処が出来なかったという無能な場所の表明みたいで私は嫌いだった。

なのに、今は心地が良い。

出来ないんじゃなくて、自分に足りない場所は巧にしか埋めてもらえないんだと知った。
それもこれも、いつも私の先を歩いている尊敬できるキースのおかげだと思う。
恋愛に初心者すぎて、キースが私に行ってくれる言葉があまりにも童話の中の王子様みたいで、現実味が感じられなかった。

だから、キースが言ってくれた言葉は嬉しいけれど、私が望むお姫様の形ではなかったみたいだ。

もし少しでも恋愛に自信を持てていたら、キースの言葉は嬉しくて胸を熱く焦がすものだったかもしれない。

けど、私は今、隣で眠る温もりだけで、心が切なく焦がれる。

(……ん?)

隣に感じられるはずの巧の体温や息使いが聞こえてこなかった。

ぼーっと頭を上げると、ネクタイを結んでいる巧が見えた。

「……巧?」
まだ少し髪が濡れてる?

「悪い。起こした? ってかお前でもリビングで寝たりすんのな。軽いから良いけど」
「あ!? 運んだの?」

そう言えば、なかなか帰らないお母さん達に痺れて、ワインを一本開けてしまった気がする。

「寝落ちたお前を抱えてそのまま一緒の部屋に入った俺に対して、ご両親は全く反応ないどころか、起きたらシャワー用のタオルやら用意してくれてたぞ」

「いつものことだからでしょ。うわー早い」
ベッドに投げだされていたスマホを掴んで時間を見た。
いつもより一時間も早い時間だ。