悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?



「……? いつお前の親が帰ってくるか分からないが、抱きしめればいいのか?」
「馬鹿」
両手を広げてきた巧に悪態をつくと、横を向いて頬杖を付いた。

「プロポーズは、とびっきり豪華にしてほしいってこと。こんな家のキッチンとかじゃなくて、こう、キースみたいに派手にしてほしいわけじゃないけど」

一生に一度のことだからと我儘を言ってみた。

すると巧は声が出ないほど嬉しそうにクシャクシャに笑っていた。
普段はクールで、声をかけたら優しい王子様みたいな会社の王子様的な巧が、表情豊かに笑ってる姿は、やっぱり私だけが知ってる優越感だけはずっと味わっていたいと思った。

「分かった。頑張ることにする」
「そうよ。こんな完璧なお嫁さんを貰うんだから、完璧に頼むからね」

自分で言いながら恥ずかしくなったけれど、巧は嫌がらず寧ろ面白がってる感じがしたので掬われた。

「……俺も馬鹿だった。さっさとキスぐらいして、俺の恋人だって言っとけば良かった。本当の志野はこんなに素直で可愛いんだからな」

ククっと笑った後、テーブルに片手をついて立ち上がり、身を乗り出してきた。

夢だと思いたくなくて閉じたくない目が、近づいてくる巧の顔に屈服して目を閉じた頃、紅茶の香りを纏わせた甘い口づけが落とされた。