「英田秘書が、ルール無視……」

「ただの良い子ちゃんだと思った? だから貴方は成長しないんじゃない?」

にやりと笑うと、森元さんが悔しそうに笑った。
そしてキースを見て、微笑む。

「キースは優しいし、日本人の私にも親切だったし、頭も良いし家柄も申し分無さすぎるし、私には勿体なさすぎるけど、でもこれからも友人として仲良くしたいな」

キースは数秒私を見つめた後、諦めたように目を閉じた。

「そこまで言われたら仕方ありません。その代り、あの社長たちをなんとかしないといけませんね」

「それは俺がなんとかするよ」
ゲーム終了のランプがついたダーツの機械に、タンっとなめらかな音を響かせてダーツが刺さった。

静かな中、巧の顔だけが燃えるような笑顔で佇んでいた。