それにクールに対応したいのに、耳まで真っ赤になってしまう自分が情けない。

「決着付いた?」
「付かねえな。竜崎暇そうだし混ぜてやろうかな」

「賭けはどうすんの」

タンっという音と共にキースがど真ん中に投げる。

「どうやら負けるのが怖くなったらしいですね。じゃあ、私の勝ちでしょうか」

満足げにキースが笑うが、明らかな挑発だった。巧の性格を理解した上手い攻撃。

「私がやる。私が巧の意思を引き継ぐわ」

ダーツを一本手に取ると、キースは目を見開いた後優しく滲ませる。

「負けたら私にオーストラリアに浚われてしまいますよ」
「大丈夫。巧が取り返してくれるから」

そして投げる場所よりはるかにダーツ本体に近い場所まで近づく。

「おい、何を堂々と反則してんだ」

楽しそうに巧が笑う。
「え、だって初心者だから。キースが依然言ってくれたの。恋愛も自分ルールで縛られてるって。だから、不器用な私は思うんだ」

「何をです?」

「初心者なりに、真ん中を射止めたいならば、ルールなんて無視しようって」

そう言うと、思いっきり真ん中にダーツを差しこんだ。

機械が真ん中にヒットしたと読み込んでくれたおかげで、巧のスコアに記入される。