「まあ二人とも腹に一物抱えてそうですね」
立花さんがスッとワインを飲み干しながら、二人を見てそう言った。
「ないない。キースは紳士だからそんな」
「だから二人とも英田秘書に惹かれてるんじゃないですか?」
「は!?」
一瞬本気で驚いて声を上げてしまった。
すぐに口を覆うが、ばっちり視線は皆、私を見ている。
「あの二人が英田秘書に好意を寄せているのは、牽制しあってるから分かりますって」
「そんなわけな――」
「シノ」
「志野」
否定しようとしたタイミングで二人に呼ばれるとか最悪すぎる。
「何?」
「対決するから、ちゃんと見とけよ」
「はは。初心者に本気は格好悪いかな」
やる気満々で上着を脱ぐ巧と、笑顔で余裕綽々のキースが私の前に立ち塞がった。
「きゃー。室長頑張って!」
「タウンゼントさーん」
庶務課の二人と森元さんは巧を、秘書課は立場的にも必然的にキースの応援に回った。
「ちょうど、タウンゼントさんには勝ってやろうと思ってたので本気出しますよ、俺」
「では私も、本気の相手には全力で向かいますね」



