とうとう、涙が下に敷いていた絨毯にしみ込んでしまった。
返事は期待できないと、私もエレベーターを待つ巧の方へ向かう。
巧は満更でもなさそうに笑っていた。
「わ、私」
涙声で森元さんは私の方へ顔を上げると叫んだ。
「私も! 森元さんにとって悪役でしかないと思いますけど!」
「ぷ。悪役には……足りないかな」
うろちょろして目障りなぐらいだった。
それも、栄子おばあさまの後ろ盾があったから。
「それでも、ご指導お願いします! 颯爽と廊下を歩く英田さんは、自信げで綺麗で、憧れてました。悔しくて言えなかったけど、そんな小さな顔で手足長く生まれてズルいって」
「ぷぷぷ。それ、本当?」
鼻水まで流しても顔を真っ直ぐ上げて私を見る彼女に、笑みが零れる。
「……今からキースと飲み会だけど、来る?」
ハンカチを差し出しながら、なんとなく声をかけると目を見開いて驚かれた。



