「で、返事は? 森元さん」
黙りこんだ森元さんに、そう声をかける。
頬は熱いけれど、真っ赤じゃないだろうと信じて鞄は下げた。
「……」
森元さんはスカートを強く握りしめた。
多分、泣いているのだろう。顔を上げようとも返事をしようともしない。
目で巧に先に下に行っていてと合図すると、また嫌な顔をしたが渋々エレベーターのボタンを押した。
「貴方にとって私は、意地悪な恋敵で、悪役だろうと思うけど、それでもいい。私は自分を恥じるつもりはないしね」
追い打ちをかけるような言葉はかけないように選んだけれど、彼女には今、ここに私が現れたこと自体が嫌なのかもしれない。
「厳しいっていうけど、私の言葉で心が折れちゃうぐらいなら元から仕事に向いてない。悪口言いつつ見返してやろうって頑張るぐらいの根性がないと、最初から持ってる能力が違う貴方には無理だと思ってる」
「……」
「あと、私も巧が好きだから。尊敬してるし、隣で支えたいって思ってる。御似合いだって悔しがる二人で居たいと思ってる」



