悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?


「まあ、噂話も派閥争いも勝手にしたらいい。別にそれぐらいで揺らぐ会社でも俺達でもないし、な」

「気にしなさいよ!」

「はは。全く」

笑い方に嘘が無いのが感じられて頭が痛い。
そうだった。この人はこんな人だ。

「だから、ちゃんと好きだよ。君みたいに素直に言えないせいで周りには心配かけて悪いけど、ちゃんと好きだよ」

はっきりと巧は言いながら、彼女の淡い秘めた思いを拒絶した。
そこだけは一ミリも優しさを見せなかった。

「ばあさんは、華族出身ってことで家柄や地位ある環境に苦労したから俺達の事も同じ境遇だと心配してくれて君をこの会社に推薦したのかもしれない。ばあさんは普通の家に憧れてたし。でも君がここを選んだのは君の意思だよね?」

巧の言葉に、真っ赤になって揺れ出した瞳で必死に頷く。
それをフッと優しい眼差しで巧は見た。
それは嘘も偽りもない、いつもの巧だった。

「じゃあ、君が心配するのは俺と志野のことじゃない。ばあさんが推薦したんだから根性があると期待してるから」

「……」

唇を噛みしめて俯いた彼女に、苦笑している。

「下でキースが待ってるけど、一緒に行くよね」
巧にそう小さく声をかけると、露骨に嫌そうな顔をした。
なるほど。確かにキースの言うとおりだった。