「失礼します。……失礼しました」
「はやい!」
社長室へ伺うと、社長だけだったのですぐにドアを閉めようとしたが、突っ込みが入った。
「巧くんなら、秘書室だよ。森元君の持ってきた資料についてなにか注意している」
「そう……。どうも」
実の父親ながら、仕事中だけは尊敬していた。
なのに、公私混同しやがって。
ついそんな蔑んだ視線を送ってしまったのか、一瞬焦ったような顔を見せた。
「えっと、参考までになんだか、副社長がオーストラリアに就任した場合」
「仕事ならば同行は仕方ありませんが、私は何度もキースのプロポーズは断ってますしこれからも断ります。仕事で会うたびに断り続ける方が彼に失礼かもしれませんね」
にっこり言うと、社長は何か難しそうに眉を動かし考え出した。
まあ、キースは大人だから本当に無理なら引いてくれるはず。
今は、会社も私達も揺れているからチャンスだと思っているだけ。
「そうか。分かった」
「では本当に失礼します」



