「英田秘書」
明らかに『げっ』嫌そうな顔を浮かべる人や焦って真っ青になる人。
両方居て、面白いと思う。
だって、憧れるより悪口言ってる方が自分を守れるからね。
だから私も優越感が生まれて、たかが悪口には何にも思わない。
「暇そうに喋ってるから頼んでいいのよね? ロビーのソファに居るからお願いね。キース・タウンゼント氏。イギリスの貴族だから上品に振舞ってね」
「貴族!」
目が輝くと同時に、ピリリとした緊張感が走る。
「大丈夫。フェミニストだから。あ、でも大事な取引相手だから、下品な言葉しか吐けないなら、喋らない方がいいかもね」
にっこりと笑う。
悪口には優越感しか生まれないと言ったけれど、悪口言うような人間は最初から嫌いだ。
自分達の思い描くように彼女が動かないと、きっと今みたいに好き勝手言うんだろうから、滑稽だ。
「じゃあ、頼んだわ」
有無も言わさず、コーヒーカップを押しつけて、踵を返す。
巧のところに森元さんが居るかと思うと、それはそれで気持ちが良いものではない。



