《蓮華 side》




「……やっ…あんっ…陸…っ」

「声…抑えて、バレる」





陸と、この関係が始まったのは
高校に入って少ししてからの事。





あたしは、家から1番近い高校を選んだ。

電車通学は面倒だったし、この町がとても好きだった。



家を出て、海沿いの道を歩いていくと
一本道にでる。

その一本道の突き当たりに、この高校がある。



自然豊かで、潮の香りがするこの町が
あたしは大好きだった。



高校生活も始まって、少ししてからの事だった。








「このクラスに、大阪から転校生がやってきた。」



朝のホームルームで、担任の先生がそう告げた。


と同時に、教室のドアが開き、
入ってきたのは、くせ毛の茶髪に高身長な
世にゆうイケメンとやらだった。




ザワザワと教室がざわめきだす。



「…え、かっこよくない?」

「だよね!!あたしも思ってた!」




なんて声があちらこちらから聞こえる。





一番うしろに座っていたあたしは
ふと、隣に席が増えていることに気づいた。



もしかして____






「成瀬 陸っです。とりあえず、よろしく!」



クシャっと笑った笑顔に

またクラスの女子たちが騒ぎ出した。




「じゃ、成瀬の席はアソコだ。」




予想してた通りに、先生は
あたしの隣の席を指さした。




成瀬 陸が、あたしの隣の席にむかって
歩いてきてる時、ふと目が合った。





その瞬間____





成瀬 陸の顔が一瞬驚いた顔をして、
悲しそうな顔になった後、いつもの笑顔に戻った。





「俺、成瀬 陸。よろしく!!」

「あたしは、橘 蓮華。よろしくね、成瀬くん」




あたしがそう言うと、成瀬くんは
なにか考え事をしてるようで、




「…陸、って呼んで」

「陸…わかった!陸ね!」





あたしたちが仲良くなるのに

時間はいらなかった。