青春メトロノーム



すぐ目線を逸らしたので、長く見なかった。
もちろん見慣れない逞しい胸板にドキドキぢたのもあるけど。
けれど、逸らした理由は生々しく残る傷痕。
胸の間からお腹に向けて大きく傷痕が残っていた。
心臓のすぐ下にも傷がある。
お腹の傷は肌色だったので、……最近じゃないのかもしれない。


私は、暁から逃げた分、彼の今までの傷を見逃して知らないでいるんだ。


「昨日、私を探してくれたから具合が悪くなったの?」
「違う」

暁は即答すると、頭からセーターを着て少し暑そうに首周りを引っ張った。


「親父がお前とご飯食べて帰るって聞いて、余計なことを言わないように走ったのは俺。お前は関係ねえし」

「その話からしてみれば、全然関係なくないよね!?」

「走るなって言われてたのを忘れてたのはお前のせいじゃねえし」

頑なに、私にか関係ないと言うスタンスを崩さない暁に嘆息する。

こっちは散々心配したのに、変に頑固なんだから。