青春メトロノーム


いや、正確にはおじさんとの会話で、都合よく忘れている部分を引きずり出された気分だった。

あの上まで、バスなら10分。
私は、夏忍び寄るこの季節の中、ひたすら自分の足だけで登ろうと決意していた。

「……うわ」

猪と鹿の飛び出し注意の看板を見てしまい、Uターンしたくなった。

田舎と言う所は、車を持っていない子どもや老人には不自由でしかない場所だ。

帰りたい。けど、顔を見て謝罪したい。でも顔を見たら嫌でも向き合わなきゃいけない。


ぐるぐると答えが出ない私は、道の真ん中で腕を組み、考えていた。


会いに行くからと早退した見栄はどこへやら。


「あら、百花ちゃん」
「え、おばさん?」

驚いたことに、病院へ向かうおばさんが車から顔をだして私に手を振ってくれた。


「もしかして暁のお見舞いにきてくれようとしていたの?」
「まあ、そんな感じかな。その、昨日は迷惑かけたみたいなので、気になって」

しどろもどろな私に、おばさんはニコニコだった。

「乗ってちょうだい、百花ちゃん」