いつもより30分早く登校すると、優菜が自分の席で楽器を磨いていた。
「おはよ。早いね」
「おはよー。なんか、朝の音出しで響きがおかしい気がしてさ。楽器って繊細だから」
「そう」
私も席に座ると、課題のプリントを取り出した。
「そうそう。タオル、探してくれた?」
「同じの41枚もなかったよ。バラバラは統一感ないし、買った方が良いと思う」
「だよねえ。それでさ、同じタオルなら行きつけのヘアサロンが一緒に注文してあげるよって言ってくれたのよね。直接業者から買える方が断然安いんだって」
「流石、優菜。頼りになる」
「まあね」
まんざらでもなさそうに、優菜は笑った。
「さあて、ホームルーム始まったら予算とか色々決まなきゃね。暁くんはいつ登校するのかな」



