何の話をしているの?
「なんでそんなこと言うの。二人とも大切な幼馴染だよ。選べないよ」
「いいから、選べ」
「突然帰ってきて、意味が分からないこと言って、……なんだかちょっと怖いし。暁、変だよ」
涼しげな風が頬をさらった。
耳よりやや下ぐらいの私も短い髪が、さらさらと揺れる。
わずか数秒見つめあっただろうか。
暁の顔は強張ったまま、――冷たかった。
「6年も経つんだ。俺がお前の想像と違っていてもしょうがねえだろ」
「なんでそんな事言うの? やっと再会できたのに」
「俺は、――お前と颯太とぬるま湯みたいな夢の中にいるつもりはねえ。お前を目覚めさせる!」
「暁!」
図書室を出ていく暁は、一度だけ足を止めたけれど振りかえりもせずに廊下へと出ていく。
廊下をキュッキュッと音を立てる上履きの音さえも響く静寂の中、暁の泣き出しそうな顔が脳裏に焼き付いて剥がれない。
ただ再会できて、それだけで良かったのに。
どうして暁の心がこんなに離れているんだろう。
見えなかった。何も見えなかった。
だけど、悲痛な表情の暁を追いかけて何を言えばいいのか分からなかった。
「放っておけよ」



