「遅いぞ」
「もうご飯ぐらい食べ終わってるだろ」
同じ口調で喋る美形に、思わず眉を顰めた。
出来ることならば帰ってほしい。
ごちゃごちゃした気持ちの中で見たくなかった。
――暁を。
そう願う自分は酷い奴なのかもしれない。
「暁が、お前にこのまま避けられると心臓に負担がかかるって言うんで連れてきた」
「何それ! 病気をだしにするなんて酷い!」
「酷いのはお前だろ!」
全然元気そうな暁が腕を組み、オンボロ車に寄りかかって私に言う。
一瞬、外国のブランドメーカーみたいな車に見えたが、見返すとただのボロボロの国産車だった。
美形パワーか。
「暁、喧嘩しに来たんなら帰るぞ。怒鳴るのも身体に悪い」
「……すみません」
バツがわるそうにお兄ちゃんに謝った後、殊勝な顔で私を見た。
「昨日は、……その、押し倒して悪かった」
「本当よ、許せないわ」
「お前に土下座するまで帰るなと、おやじも母さんも怒ってるから許せ」



