昼休み。
私は二枚の大きなタオルを前にニヤニヤしていた。
「結局返り血が見えるように、黒は禁止にされてね、赤になったんだよ」
「なんだよ、それ」
「美貴ちゃんって元ヤンって噂があるけど本当なのかもね」
「いや、そうじゃなくて、なんで二枚持ってんの?」
颯太の発言に私はにやりと笑う。
「颯太の分も私が作るから。颯太は部活が忙しいから」
私が作りだした小さな世界。
その世界は、もうこの図書室だけ。
ここならば誰にも聞かれたりしない。
「……もう俺は本物じゃないって気づいてるのに」
「だからもういいの。颯太はその姿のまま私の前に居てくれるだけでいいの」
言葉は要らない。
もう教室にいるような設定も要らない。
ただ、傍に居てほしい。
「私が成長できるまで、颯太の幻は消えないで」
私がこう成長したんだろうって思っていた理想の颯太。
私の想像力が足りなくて成長も行動も小学生のままの颯太だったけれど、それでいい。
私の世界から消えないでほしい。



